とある雑誌の連載記事に、
言葉というものは曖昧かつ不安定で捉えにくい対象であることもあって、とりわけ現代思想ブームが終焉し実証的社会科学が隆盛を極めているここ三十年ほどの間は、言語理論への関心は総じて低調であったと言える。「言語論的転回」は今や、むしろ逆転の渦中にあるとみたほうがよいのかも知れない。
というようなことをあまりよく考えずにさらっと書いてしまったのですが、本当に低調であると言えるのかどうか不安になったので、Google Ngram Viewer(特定のキーワードが19世紀以降の英語の書籍にどれぐらい頻繁に登場してるかを教えてくれるやつ)で確認してみました。
【言語学】
30年というよりは40年ぐらいかけて下落していっていますが、日本における現代思想ブームは欧米から10年ぐらい遅れていたイメージがあるので、大きく間違ってはいなかったと安心することにしました。
構造主義〜ポスト構造主義(ポストモダニズム)の時代は、人文学全般が非常に盛んで、あの時代が終わると「哲学」や「思想」とかいうもの全般に対する関心が薄れていきましたよね。まぁ私は80年代生まれなのでリアルタイムでは知りませんが。
関連しそうな用語も調べてみました。(なお、言語学や心理学の盛衰に関しては、現代思想ブームと並行して起こった、50-70年代のいわゆる「認知革命」というムーブメントも関係してると思います。)
【意味論】
【記号論】
【哲学】
哲学(philosophy)はとくに人文学の議論でなくても用いられる用語なので、あまり現代思想ブームとは関係なかったかもしれません。
【人文学】
「人文学」は90年代ごろから下落が始まるようです。
【構造主義】
「構造主義」も意外とピークは90年代だったようです。
【人類学】
【心理学】
「心理学」は、ずいぶん昔にも山がありますが、これは行動主義の趨勢に引っ張られてるんですかね?
30年代ごろはパブロフとワトソン、50年ごろはスキナーの時代という感じですね。
「行動主義」も検索してみました。
【行動主義】
【社会学】
社会学は、ルーマンやパーソンズのような大物理論化がいた時代にピークがありますね。
人文学とは言わないと思いますが(19世紀には人文学と社会科学の区別がなかったので両者は似たようなものだったわけですが)、政治学と経済学も見てみました。
【経済学】
【政治学】
なんとなく、文系全体が衰退してるような感じがしますねw
しかし途中で気づいたのですが、「数学」とか「物理学」とか「統計学」とかを入力しても90年代から2000年代にかけて衰退しているので、アカデミックなワード自体が割合としては減っていくような、サンプルの性質が何かあるのかもですね。(もちろん、たとえばstatisticsなんかはとくに、アカデミックな話で使われるとも限りませんが。)
【数学】
【物理学】
【統計学】