私は会社員を10年やってから大学に転職したのですが、会社員時代の前半は本社の営業部門に所属していて、現場の営業マンをサポートするためのデータ分析やらツール開発やらを担当しておりました。そういう仕事をやっていたので、マーケティング関連の媒体にはそれなりに目を通していて、週3回発行される専門紙『日経MJ』はよく読んでいましたし、当時一番好きだったのは小売・流通業界の雑誌『月刊激流』ですね。激流は、世間ではほとんど知られていませんが、記事のクオリティがとても高かったです。
2010年12月のある日、いつものように『日経MJ』の記事をチェックしていたら、事務用品通販のアスクルの子会社アスマルが、キングジムとコラボして、通販商品を発送する際の梱包資材(ショックを和らげるための緩衝材)に駄菓子の「うまい棒」を使うというキャンペーンをやっていることを知りました。
アスクル子会社 駄菓子を梱包材に 商品配送で話題作り(2010/12/12 日経MJ)
アスクルの個人向け通販子会社、アスマル(東京・江東)は、梱包材に駄菓子を採用した特別包装で商品を送るキャンペーンを始めた。電子文具メーカーのキングジムと連携したクリスマス向け販促の一環だ。アスマルは9月から通販サイトの運営を開始、一般消費者からの知名度はまだ低い。同社はこれまでにない梱包の採用で口コミの波及効果を期待する。
20日までに同社の指定するテーマでブログを書いた人を対象に、電子メモなどのキングジム製品を抽選で贈る。配送の際に人気の駄菓子「うまい棒」を段ボールに詰め込み、衝撃を和らげる。1箱当たり150~200本ほど封入する予定。
まずは同キャンペーンのみでサービスを展開し、「反応がよければ今後の継続も検討する」(アスマル)という。

私は物流の業界にいたので特にこういう記事が目に留まりやすかったのですが、このキャンペーンにはちょっと疑問を持ちました。綺麗事を言いたいわけではないのですが、お菓子を緩衝材に使うという発想が、「食べ物を粗末にするな」と言われて育った人間としては、ちょっと引っかかってしまうんですよね(笑)
うまい棒を製造しているのは、茨城県にあるリスカという会社です。私は大学時代にココスというファミレスでバイトしていたのですが、バイト仲間の女子高生が高卒でリスカに就職していたこともあって、この会社には馴染みを感じていたので、お客様相談窓口に以下のようなメールを送ってみました。
日付: 2010年12月13日(月) 午後12:22
件名: 12月12日の日経MJ紙の記事について(うまい棒を緩衝材に使用)
リスカ株式会社 御中
12月12日付「日経MJ」紙上に、下記に引用した内容の記事が掲載されておりました。
オフィス用品をBtoB通販で提供しているアスクルの子会社・アスマル社が、商品発送時の梱包材として「うまい棒」を使用し、衝撃を和らげているとのことです。
「うまい棒」は1本10円とはいえ立派な“食べ物”です。「キャンペーン」期間中の一時期であるとは言え、それを緩衝材に使用するというのは、わが国伝統の「MOTTAINAI」の精神に反していますし、新聞記事に付された写真を見ますと1梱包あたり20本程度*1は詰め込まれており、この金額でアフリカの子供の3日分程度の食費に相当します(カロリーでいうと2梱包で1日分程度)。
私は20年以上前の小学生時代から「うまい棒」ファンであり、現在は茨城県つくば市に在住し、常総の貴社工場にもたいへん親しみを感じておりますが、今回の件は非常に残念に思います。
貴社としてはいかがお考えでしょうか?
茨城県つくば市 ●●●●
いま読むと、ただ企業にいちゃもん付けたいだけの「クレーマー」やんけと思いますが(笑)、当時の私としては半分冗談で、半分本気という感じでした。このキャンペーンにちょっとした「気持ち悪さ」を覚えたこと自体は事実ですが、メールはわりと軽い気持ちで送っているネタのようなものです。
さて、軽いノリで送ったものなので、返信があろうがなかろうがどっちでも良かったのですが、翌々日にはリスカの担当者からメールが届きました。
●●●●様
この度は、貴重な情報をご提供いただき大変ありがとうございます。
当社でも日経MJを購読しておりましたがご提供いただいた記事は見落としておりました。
なお、アスマル株式会社に対して当社の商品を梱包材として使用する事は中止していただくように申し入れを行っております。
貴重な情報をご提供頂いたお礼と致しまして当社の商品をお送りさせて頂きたいと思いますのでお手数ですが氏名・住所・ご連絡先をメールにてご返信下さいますようお願いします。
今後とも当社の商品を応援頂きますよう宜しくお願い申し上げます。
リスカ株式会社
お客様相談係
せっかくだから貰えるものは貰っておこうと、私からは下記のように返事しました。
リスカ株式会社
ご担当者様お礼を戴くほどのことでは全くありませんが……
しかし貴社商品のファンであるため、お言葉に甘えさせていただきます。[住所]
[氏名]
[電話番号]今後とも、茨城県を代表するお菓子・パンメーカーとして、益々ご発展
されることを期待しております。●●●●
この数日後に、段ボール箱2箱分ぐらいのお菓子が自宅にとどきました(笑)
そこに同封されていた手紙(添え状)によると、たしか、アスマルかキングジムの担当者を呼び出して、キャンペーンは中止してもらったとのことでした。ひょっとすると、向こうから謝りに来ましたという話だったかも知れませんが、もはやうろ覚えです。
半分冗談で送った、ネタのようなクレームではありましたが、リスカ社の機敏な対応に誠実さを感じて少し嬉しかったですね。もちろん、私にお菓子を送ってくれたことではなく、キャンペーンを中止させたことについてです。
ちなみに、一応フォローしておくと、おそらくアスマルとキングジムでこのキャンペーンを考えた人も、そんなに悪気はなかったのだろうと思います。ただ、うまい棒を緩衝材に使うという話をわざわざ「日経MJ」に記事広告のような形で載せて宣伝するのだから、さすがにリスカ社の許可も取ってるのだろうと私は思っていて、だからこそリスカ社にクレームを送ったのですが、全く知らせてなかったようなので、それはちょっとなぁ…と思います。
で、私はこのときリスカから送られてきたお礼の詰め合わせで、初めて「うまい輪」というお菓子と出会いました。

うまい輪めんたい味 – リスカ株式会社 – おいしさのハートランド
これはうまい棒を輪っか状にして袋に詰めたものですが、死ぬほどうまいです。昔から売ってますが、知らない人も意外と多いので、ぜひ食べてみてほしいです。コンビニにはまず売ってないし、スーパーのお菓子売り場でもあまり見かけませんが、ドンキホーテあたりだと売っているイメージです。
個人的には、うまい棒よりうまい輪のほうが、遥かにうまいと感じます。材料は同じで形が違うだけだと思うので、不思議ではあるのですが。なぜなんでしょうね?
(参考:このブログのおすすめ記事一覧はコチラ)
*1:記事に1箱あたり150-200本と書いてあるのを見落としてますね😅でもそんなに入らない気がするので記事が間違っているのかも知れません。
